「飯は中華、家はドイツ、妻は日本人がいい?

ドイツ・ビュルツブルクの画像
ドイツ・ビュルツブルクの旧市街です。

飯は中華、家はドイツ、そして、妻は日本人がいい。


「亭主元気で留守がいい」と日本ではよく言われるが

私が20年以上も滞在したドイツでは違っていた。

 

私がドイツで暮らしていた頃は主に観光バスに乗ってお客さんを案内する仕事をしていたが、同僚の運転手達はほぼ離婚経験者だった。

 

「原因は何なんだい?」と聞くと

例外なく「そりゃ、家にいられないからさ」と答える。

 

ドイツでは協議離婚などというものは存在しない。

離婚話が持ち上がるとすべて裁判所に持ち込まれ法的な判決となる。

 

観光バスの運転手達のようにシーズン中は何ヶ月も家に帰れないとなるとそれは「正当な離婚の原因とされるのだ。ドイツの女性との結婚に失敗した彼らは日本人妻に憧れているようだった。

 

彼らは口を揃えてこう言う。ドイツの女なんて真っ平だよ。

気が強くて口うるさくて・・・。

 

その彼らが私に「飯は中華料理、家はドイツ製、妻は日本人というのを知ってるか?」と訊いてきた。

 

ま、バリエーションの少ないドイツ料理に比べて

中華料理が旨いと思うのは分かる。

 

また、ゲルマン民族系の家は確かに堅牢だから、

これもうなずけるよ。

 

でも日本人の妻に至っては理由が分からない。

 

確かに、ドイツ人女性ほど強くないが、優しい外見とは違って

結婚した後はなかなかに強いんだぞ!と言ってみた。

 

すると運転手の一人がこんな話をしてくれた。

 

去年の夏に同僚のシュテファンが結婚した。

永遠の愛を誓って結婚式を挙げ、幸せな新婚旅行をして戻ってから新居のマンションに入居した。

 

それから、ヤツはいつものように「愛してるよ♪」とキスをして仕事に戻ってヨーロッパ中を走った。

 

2ヶ月ほど経って家に帰ったら、

そこに妻の姿はなかった。

家財道具も消えていた。


2ヶ月も新妻を放って置くような夫をドイツ人の妻が待つわけない!

誰だってそう言うだろ。

 

でも、オレたちは観光バスの運転が仕事なんだ。

シーズン中は数ヶ月自宅に帰れないことはザラにある。

場合によっては半年以上になることだってある。

それでも「何ヶ月も仕事で留守をしても黙って待っててくれる日本の女は素晴らしいね。そうだろ?。

 

確かに当時、実際に添乗員と運転手のカップルが何組も誕生していた。

 

そういえばうちの娘は3年前に結婚したがその亭主は現在東京へ単身赴任している。もう一年近くなるのだが私や妻が心配しても娘は「楽チンだし~」などとケロッとしている。

 

私からすると夫婦仲がよくないのではなどと心配になるが本人達はいたって平気な様子で今でもラブラブのつもりらしい・・・。

 

私達夫婦日本に帰国してもうすぐ5年になるのだが最近は外を歩くときに手を繋ぐというドイツ式の習慣は徐々になくなっていった。日本では我々のような中年夫婦が手を繋いでいると少々引かれてしまう(汗)

 

今では日本式のサッパリした関係はいいものだなと思うが「亭主元気で留守がいい」などと言われたらちょっと困ってしまう。

 

ドイツ式に毎日「愛してるよ」などと言い合うのは暑苦しいと感じるがやはり夫婦は毎日そばにいる方がいい。

 

 

羅王