メルヘン「森の小人・シャルルの旅」

森の小人シャルルの旅の画像
シャルルの旅
森の小びと・シャルルの旅


大きな森の中にシャルルという働き者の小人が住んでいました。
シャルルの仕事は他の小人たちと同じように鉱脈を掘ることでした。
鉱脈を掘ることに関して、若いシャルルの右に出る者はいませんでした。

ある日シャルルは仕事帰りに
見たことのないキノコを見つけ、パクッと食べました。
ん?
・・・・・あれ?・・・・・キノコはちょっとかわった味がしました。
毒キノコだったのです!

その日からシャルルは変わりました。
あれほど好きで打ち込んでいた仕事をなまけるようになりました。

鉱脈を掘る仕事のどこが一体面白いのだろう?
と思うようになったのです。
やがて、今までの仕事仲間と仲違いし、
一人で過ごすことが多くなりました。

そして、だれも相手にしなくなった「なまけ者シャルル」の日課は
大きな切り株の上に座って、日がな一日ボ~~と遠くを眺めることでした。

一方、森の小人たちには大きな変化が起きていました。
鉱脈を掘り当てることができなくなっていたのです。

どこを掘っても、わずかな金銀銅が出てくるだけでした。
小人たちは何か打開策がないかと頭を悩ませました。

しかし、この森にある鉱脈はすでに掘りつくしてしまったに違いない。
そうなれば、村人みんなで住み慣れた森を離れ、長い放浪の旅をしなければならないだろう。
口には出さないけれども、だれもがそう考えていたのでした。

でも、シャルルはもう鉱脈を掘り当てる仕事に関心がありませんでした。
そして、いつものように、切り株の上でうたた寝をしていました。
すると・・・、
「聞け」「東の森」「喜びの泉」「菩提樹」「モミの木」「地下水脈」「豊かな鉱脈」・・・
と風に運ばれてきた星がシャルルの耳元でささやきかけて来ました。

なんども繰り返すその声に目覚めて、「なんだって?」シャルルは問い返しました。
すると応えがありました。
長い問答の末、シャルルは星の知らせをはっきりと理解したのでした。

シャルルは切り株を降り、長老のもとへ行き「星のお告げ」を伝えました。
星のお告げをバカにする小人はいません。

それで、すぐさまシャルルに道案内をさせ、お告げの場所を掘り始めました。

三日後、ざわめきが聞こえ、小人たちの興奮と歓声が聞こえてきました。
大きなダイヤモンドの鉱脈が見つかったのでした。
これで小人たちは住み慣れた森を離れる必要がなくなりました。

それ以後、シャルルはさらに新しい金銀の鉱脈のお告げを伝え、
森の小人たちをもっともっと豊かにしました。
シャルルはといえば、相変わらず切り株の上でうたた寝をしていたのですが、
だれも「なまけものシャルル」と悪口をいう者はいませんでした。
めでたし、めでたし♪   
おしまい。 

 ******** 森の小びとシャルルの旅 *******  
羅王 作