エッセイ「自由人に告ぐ」

チェコの絵本作家の絵:
チェコの絵本作家の絵をお借りしました。

自由人に告ぐ!

 

21年の欧州滞在の後、尼崎市に帰国した私は

無職で全くの無収入で今後の収入の予定さえもなかった。

 

貯金は、今もそうなのだが当時も蓄えは全くなく、

財政的に頼りに出来る親族もいなかった。

 

時差のせいでよく早朝に散歩しながら

まだ慣れない日本の町並みを眺めながら思案したものだ。

 

さあ、これからどうやって生きてゆこうか~?

 

散歩道の両側に建ち並ぶマンションを見上げて、

今私がこのビルのオーナーだったら生活するお金のことで悩まなくていいのにと羨ましく思った。


現在私は50代の初めだが、これまでの人生を自由人として生きてきた。

高卒後電車の運転手として勤めた以外は欧州でガイド・通訳・今の占い師と、ずっと自由業でやって来た。

 

この自由な人生のお陰で一番振り回わされたのもやはりお金だろう。

 

収入に関しては、人様よりも多めに儲けた時期も何度かはあったが、大抵は、やれ税金だ、やれ支払いだと請求書に追われ資金繰りに四苦八苦してきた感がある。

 

じゃあ、この自由に生きた30年間の代わりに、

ビルのオーナーとしてコツコツと蓄えを増やし

お金に困らなかった30年間と交換したいか?

 

と問われたら・・・やっぱりお断りだ。

 

たとえお金に困っても、

私には自由を享受してきたという自負があるからだ。


いやいや自負だけでは生活できないだろ!

とは、もちろん思う。

 

人は社会的な生き物なので

自分の価値をどうしても外側の基準で量ってしまう。

 

日々の支払いに十分なお金がなかったり、

楽しむために節約しなければならなかったり、

ちゃんとした定職に就いていないと自分自身を認めることが難しくなる。

 

いつまでも独身で家族がいなかったり、

仲間内で自慢できる社会的な地位を持たないと

何だか肩身が狭く感じる。

 

社会的に順応した大人であると思うことが出来ないと、

自分で自分を承認できないものなのだろう。

 

国や社会に対して自分の時間と労力を売り渡すと、

給料やボーナスを受け取れ財政的な安定を手にすることができる。

 

この世界の大きなお金のシステムの一部を担うことで

人は安定を手に入れる。だから一部の成功者を例外として、

自由を手放さない者は安定した財が築きにくい。

 

日本の社会体制はそう出来ているようだ。

 

お金が足りていても幸せとは限らない。

幸せはお金では買えない、とは使い古された言葉であるが、

お金が足りないと不幸な気がするのは、実はそれは幻想だと思う。

 

実際に私はこの財政的に不安定だった30年間をとても幸せに暮らしてきたとハッキリと言えるのだから。余裕があるときは家族を連れてあちこち贅沢な旅行をしたこともあるが、苦しいときはたった一枚のコインしか財布の中になかったこともある。

 

どうやってあの苦しい時期を乗り越えたのか今も不思議に思うがどの瞬間も精一杯の自分で生き生きと自分自身を生きてきたということだけは記憶にある。

 

私が自由人を代表して言わせてもらおう。

 

「財の安定」か「自由の享受」か、それが人生の選択肢なのだ。

 

安定を選ぶ人は何が儲かるのか、

何が自分を豊かにするのかを最優先すればよい。

 

だが、何が自分らしい生き方なのかを模索した結果

財政に窮しているなら、あなたは自由を選んだのだ。

 

その安定への執着を手放したらいい。。。

 

そして、既存のシステムから独立した「自分の財の流れ」を構築するまで

自分らしく生きるしかない。

 

たとえ不安定な収入に振り回されたとしても!

 

☆彡ラ(^王^)ノ~