地震と羅王
今朝未明にまた九州で強い地震があったらしい。最近立て続けに火山の噴火や地震が続いて日本列島の深部で何が起こっているのかと不安になる。私は実は地震がとても苦手なのだ・・・。
20代半ばに広島から上京して大学に通っていた。風呂もトイレもついていない傾いた木造2階建ての六畳一間に住んでいたのだが、ある日地震が起こった(震度2か3くらい)
当時からつきあっていた今の妻が来ていて夕飯の準備中だったと思う。妻は慌てて火を止めた。私は何をしたかというと、とっさに窓を全開にしてそこに足をかけ妻を大声で呼んだのだ。
「こっちへ来~い!」。妻はキョトンとしていたが私は至って本気で妻を抱えて2階の窓から飛び降りる気満々であった。
ほどなく揺れは収まったが私の方の不安は収まらなかった。
いや、これは大地震前の余震に過ぎないかもしれない。
私は訝る妻を急かして預金通帳と財布と頭に乗せる座布団を持って部屋をでて隣の小さな公園に避難した。
これは災害時の基本である。
妻とふたりでベンチに座って様子をみていたが日暮れ時の公園はシーンとしていた。「誰もこないね・・・」妻がポツンとつぶやいた。そして、何も起こらなかった。
よく観察してみると東京に住む人は震度4程度なら慣れていて、少々ビルがガタガタ揺れたくらいでは動揺しないようだ。
三田のキャンパスで講義中にやはり震度4~4.5度の揺れがあったが、教授も学生もジッと動かずに様子を見守り、揺れが止むと教授は「今のは割に大きかったね」と一言評して、あとはまるで何事もなかったように講義を再開した。
私が21年住んだドイツから帰国して東京ではなく大阪に居を構えたのはそのせいかも知れないと思ったりもする。
あれからすでに30年近くが経過し、真っ黒で剛毛だった私の頭髪にも白髪が混じり華奢で可愛かった妻もデンとした中年のオバサンになった。それでも私はやっぱり今でも地震が苦手なのだ。
地震の少ない大阪でもたまには揺れることもある。
先日トイレに座っていた私は大声で叫んでトイレから飛び出た「地震だ~」妻は「あれっ?」という程度。テレビでは「大阪は震度2でした」と伝えていた。神戸に住む娘も全く感じないそうだ。女性は概ね何事にも鈍感なのではないだろうか。
私が苦手なものはちょっと恥ずかしいが「地震」「幽霊」「蜘蛛」である。「北斗の剣」のラオウもああいう外見ではあるが恐らく「地震」「幽霊」「蜘蛛」は苦手に違いないと、私は確信している。
羅王