白馬の王子さま
占い師という職業柄
「この人は私の運命の人ですか?」とよく訊かれる。
はいそうです!とか、
いえ違います!などと
簡単に答えるワケにはいかない。
女性の抱く「運命の人」とは多分、人生を一瞬にして好転させてしまう
スーパーマンのような人のことであり、
私の考える「運命の人」とは全く異なっているからだ。
では私にとっての運命はというと二通りある。
「変えられない運命」と「変えられる運命」である。
前者は生前に今回の人生に必要だと選んだもので、
おいそれと変える事は出来ない
国籍や性別。
家族や幼少期の生立ち、
約束した人々との出会いなどである。
後者は生後に自分の意思で選ぶことによって
変えることができる
恋愛や結婚。
仕事や転職。
趣味や友人関係。
旅行や転居。
病気や死などだ。
例えば出会いに限定してみると、
生まれる前に出会う約束をしたなら、それは避けられないので
必ず出会うと思っていてよい。
その時点でその人は「出会うべき運命の人」である。
しかし、出会った後その人と恋人関係に発展するかどうか、または結婚まで至るかどうかとなると、これはいつも当人同士のそのときの意思と選択に任されている。
この意味で人生で「出会う運命」と、その後に交際したり結婚したりと「発展させる運命」は全く別物であり、それらは自分の決断次第で変更可能な運命なのだと、私は考えている。
一方、人生は男で変わると考える受身的な女性の描く運命の男性とは、たいてい不幸の真っ只中にいる女性を幸福な結婚によって一気に幸せな人生を約束するような出会いのことを指している。
それは「シンデレラ」や「白雪姫」の
メルヘンに登場する「王子様」に似ている。
白雪姫のお話で、最後に偶然通りがかった王子は白雪姫の抱えている問題のすべてをたった一回のキスで解決し、結婚によって長期の幸せと豊かさを保証し、さらに復讐まで遂げてしまうのである。
心理学では女性の潜在意識にある
そういう他者依存型の願望のことを
「シンデレラ・シンドローム」とか
「シンデレラ・コンプレックス」と呼ぶらしい。
このような他人の人生を劇的に変化させる力をもつのは
王子様よりむしろ「性格のひねくれた怖い魔女」とか
「人を動物にしてしまう悪い魔法使い」など、
主人公を奈落の底へと突き落とす悪役の方をイメージしてしまう。
具体的にはDV男とかパワハラ男とか不倫とか愛人関係などを思い浮かべてしまうのは私だけだろうか・・・?
ではシンデレラのような願望を持ち王子様を待つことが女性にとって利があるのかというと、そうでもないようだ。理想は王子様なので、自分の理想に敵う人でなければ歯牙にもかけない。むしろそのせいで婚期を遅らせてしまうこともあるという。
20代初めくらいの未婚の女性がこのような王子様を夢見るのはなんとなく理解できるとして、30代や40代の既婚の女性が王子様を待つというのはいかがなものか。それではホントに愛人・不倫関係にしかならないではないか・・・。
とはいえ私の心配をよそに、年齢にかかわらず女性は今日もなお、外からくる何者かが自分の人生を変えてくれるのを待ち続けているに違いない。
占い師としての私の答えはというと:
そうです。
その人は確かにあなたに出会う運命の人です。
ただし、それから
この二人が交際や結婚へと発展するかどうかは別にして・・・。
羅王